石川雅之先生の人気漫画『もやしもん』は、完結から数年経った今でも”打ち切り”や”最終回の質”について議論が絶えません。微生物を見る特殊能力を持つ大学生の物語が、なぜこのような評価を受けることになったのでしょうか。本記事では、もやしもんの打ち切り説の理由と最終回への批判、ドラマ版の評価などについて詳しく解説します。
石川雅之の人気漫画『もやしもん』
もやしもんは石川雅之さんが手掛けた漫画作品で、2004年から2013年までの7年間にわたって『イブニング』で連載された後、その後『月刊モーニングtwo』へと掲載誌を変更しました。物語は、微生物を肉眼で見る特殊能力を持つ主人公・沢木が、農業大学での生活を送る中で繰り広げられます。人気を博したこの作品は累計発行部数800万部以上を記録し、2007年にはアニメ化、2010年には実写ドラマ化もされました。
もやしもんのあらすじ
種麹屋の次男である沢木惣右衛門直保は、肉眼では通常見えないはずの菌やウイルスを視認できるだけでなく、それらと会話することさえ可能という秘められた特殊能力の持ち主でした。幼馴染の結城蛍とともに、祖父の友人である樹慶蔵教授が教鞭をとる「某農業大学」に進学した直保。

そこで彼は、院生の長谷川遥やゼミ生の武藤葵、酒造りの失敗で借金を抱えることになった美里薫と川浜拓馬、また偶然ゼミに参加することになった1年生の及川葉月らと出会います。この仲間たちと共に、直保は自身の特殊能力が関わる様々な菌とウイルスにまつわる出来事に立ち向かっていくことになるのです。
もやしもんの打ち切り理由の真相は?
もやしもんは打ち切りになったという噂が一部で広がっていますが、結論から述べると打ち切りで終わったわけではありません。実際は作者・石川雅之さんの意向による円満な完結作品だといわれています。
ではなぜ打ち切り説が生まれたのでしょうか。その主な原因としては、2013年に「イブニング」から「月刊モーニングtwo」への唐突な連載移籍があります。この移籍の突然さが読者に「打ち切りではないか」という印象を与えてしまったようです。
加えて、作者のSNS発言や最終回の展開に対する一部読者の不満も、この誤解を広める要因となりました。しかし真相は、石川さんが当初から物語の結末を計画しており、自身の意図通りに作品を完結させたというものです。つまり『もやしもん』は、作者の創作意図に沿って自然に物語が幕を閉じた作品で決して打ち切りで終わったわけではないということになります。
『もやしもん』最終回への読者の反応
もやしもんは連載を完結させましたが、その最終回に対して納得できない読者が少なからず存在していました。読者からは長期連載だったが故に「作者の石川氏が描く意欲を失ったのではないか」、「物語がまだ続きそうな終わり方だった」といった意見が寄せられ、一部では作品が打ち切られたのではないかという推測が持ち上げられるようになりました。
実際に最終回の内容に関してはまだ続編があるかのような余韻を残したまま終わってしまったこともあり、こうした読者の反応がSNS上で広く議論されるようになった結果として本作が途中打ち切りだったという噂の発端となったのです。過去にはサマータイムレンダ作者死亡の噂が囁かれたこともありましたが、結果として似たように読者の5階から派生した噂だと言えるでしょう。
未回収の伏線に不満の声
もやしもんが打ち切りだと噂される理由に、未回収の伏線があります。物語の伏線は、後の展開に意味を持たせるためのヒントであり、それが適切に回収された際に読者は大きな満足感を得ます。石川雅之先生は、伏線の回収が巧みな作家として知られており、もやしもんでも多くの伏線が丁寧に回収されました。
しかし、完結後も一部の伏線が残されたままでした。こうした未回収の伏線が存在することは、必ずしも打ち切りを意味するわけではありません。意図的に伏線を残したまま終わる作品も多いです。
ただ、石川先生の作品では珍しいため、一部の読者は『もやしもん』が打ち切られたのではないかと考えたのです。
『もやしもん』のドラマについて
冒頭でも触れたようにもやしもんは2010年に放送されており、フジテレビ系列で全11話が放送されました。当時原作であるもやしもんのコミック版は連載途中で完結はしていませんでしたが、その状況下でも比較的現実に忠実であまり改変のない作品だったと言えるでしょう。そんなもやしもんのドラマの作品情報は下記のとおりです。
- 放送開始:2010年7月9日から2010年9月17日
- 監督:岩本晶、森田淳也、梨木友徳
- 脚本:石川雅之
- 制作:白組
- 主題歌:SOS / たむらぱん
- エンディング:海へいこう / SEAMO
ただ、そんなもやしもんのドラマですがファンからは「ひどい」と酷評されることも少なくありません。次からはもやしもんのドラマが「ひどい」といわれる理由を探っていきましょう。
『もやしもん』のドラマのキャストについて
もやしもんのドラマがひどいといわれる理由として、キャスト陣のキャスティングが原作とマッチしていないとの声が挙げられます。もやしもんのドラマ版では沢木惣右衛門直保役を中村優一さん、武藤葵役をちすんさんが演じており、他にも西田幸治さんや板野友美さんらを筆頭に数々の人気俳優たちが出演しました。
ただ、もやしもんは大学生を主人公とした作品であり、主演の中村優一さんらを中心に大学生役を演じるのは年齢層が高すぎるとの批判が殺到。また中には原作のキャラとの外見の差があまりに大きく、全く似ていないとの意見も少なからず寄せられており、こうした理由からもやしもんのドラマはひどいと言われるようになってしまったようです。
原作とドラマの作風の違い
もやしもんといえば微生物を中心に日常に蔓延る菌たちを専門的かつユーモアたっぷりに描いた作品でした。その一方でもやしもんのドラマは原作の良さであった専門性を減らしており、その代わりに登場人物たちの人間関係や恋愛模様に重点を置いた作品として作られています。また原作では重要なシーンとして登場した出来事がドラマでは丸々省略されていたり等、原作に忠実な作品でありながら随所で異なる場面も多かったと言わざるを得ません。
しかしこれは原作ファン以外の視聴者層を取り組む意図があったこと、そして当時は原作が完結していなかった等の理由から仕方がなかったとの声もありますが、こうした作風の違いがもやしもんのドラマがひどいといわれる理由の一つであることは確かなようです。
『もやしもん』のドラマはひどいから打ち切りに?
実はもやしもんのドラマもひどいとの感想が相次いだため、打ち切りで終わったとの声もありますが実際はこちらも打ち切りではなく、当初の予定通りの話数を放送して無事に完結を迎えています。
しかしもやしもんのドラマは原作の人気に不釣り合いな低調な視聴率を記録しており、実際に原作ファンからも「ひどい」といった酷評のレビューが相次いでネット上には投稿されていました。こうした世間の印象もあって、もやしもんのドラマもひどいといわれて打ち切りになったと言われるようになったのかもしれませんね。
最後に
『もやしもん』は石川雅之先生の創作意図に沿って完結した作品ですが、連載誌の移籍タイミングや未回収の伏線など、いくつかの要素が「打ち切り説」を生み出す結果となりました。しかし作品そのものの魅力や、微生物世界の描写の素晴らしさは今なお多くの読者を魅了し続けています。最終回の評価はともあれ、もやしもんが日本の農業・発酵文化を独特の視点で描いた稀有な作品であることは間違いないでしょう。









