キアヌ・リーブスが主演を務めるアクション超大作『ジョンウィック』。世界的に大ヒットを記録したシリーズですが、インターネット上では「ジョンウィックがひどい」という批判的な意見も見られます。果たして本当に期待外れの作品なのでしょうか？今回は、否定的な評価の背景から作品が持つ真の魅力、そして効果的な視聴方法まで徹底的に掘り下げていきます。
『ジョンウィック』シリーズの基本情報
『ジョンウィック』は、かつて裏社会で名を馳せた殺し屋が、ある出来事をきっかけに再び戦いの世界に身を投じる物語です。2014年に第1作が公開されてから2023年の第4作まで制作され、2025年にはスピンオフとなる『バレリーナ』も劇場公開されました。今後も第5作の製作が予定されており、まだまだ勢いが衰えないフランチャイズとなっています。
キアヌ・リーブスが披露する「ガン・フー」という革新的な戦闘スタイルが大きな反響を呼び、世界各国で興行収入ランキングのトップに輝きました。しかし、高い人気を誇る一方で、辛辣な評価が存在するのも無視できない現実です。
「ジョンウィックがひどい」という批判の正体
人気シリーズにもかかわらず、なぜ否定的な声が上がるのでしょうか。その理由を探っていきましょう。
プロットの単調さへの不満
もっとも頻繁に指摘されるのが、物語の構成がシンプルすぎるという点です。第1作においては「飼い犬を奪われた男の復讐劇」という極めて分かりやすい設定からスタートします。心理的な葛藤や社会的なメッセージ性を重視する観客層からすれば、内容が浅いと感じられても不思議ではありません。
「見どころはアクションシーンと主演俳優だけ」といった辛口コメントも散見され、映画作品としての多層性を求める人々には満足度が低くなりがちです。
戦闘シーンが延々と続く構成
作品全体のかなりの割合を激しいバトルシーンが占めているため、「似たような展開の連続」だと受け止められることがあります。とりわけ第4作では上映時間の大半がアクションに費やされており、169分という長尺の8割近くが戦闘場面だという見方もあります。
登場人物たちの対話や内面的な変化を描く時間が犠牲になっており、映画としての奥行きが失われているという指摘には一理あるでしょう。
現実離れした主人公の無敵ぶり
ジョン・ウィックは作中で何十人、時には100人を超える敵対者を単独で制圧してしまいます。ダメージを受けながらも結局は勝利を収めるパターンが定着しているため、「現実感がない」「都合よく作られすぎている」という反発を招いています。
地に足の着いたリアルなアクションを好む視聴者にとって、このファンタジー的な能力設定は受け入れ難いものがあるようです。
『ジョンウィック』シリーズの視聴ガイド
では、実際にこのシリーズを楽しむにはどんな順序で鑑賞すればよいのでしょうか。
公開された順番での鑑賞を推奨
基本的には制作された順に見ていくのが最適です。推奨する鑑賞の流れは次の通りです。
- 映画『ジョン・ウィック』(2014年)
- 映画『ジョン・ウィック:チャプター2』(2017年)
- 映画『ジョン・ウィック:パラベラム』(2019年)
- 映画『ジョン・ウィック:コンセクエンス』(2023年)
- ドラマ『ザ・コンチネンタル』(2023年)
- 映画『バレリーナ』(2025年)
最初の作品から順を追って視聴することで、主人公を取り巻く独特な世界観や登場人物たちの関係性がスムーズに理解できます。途中の作品から始めると、重要な組織の設定が掴みにくく、物語への没入度が下がってしまう可能性があります。
ドラマシリーズは補完的な位置づけ
ドラマ『ザ・コンチネンタル』は、重要な脇役であるウィンストンの若き日を描いた外伝的作品です。ただし、キアヌ・リーブスの出演がなく、「映画版が持つ独特の空気感を再現できていない」という評価が支配的です。
まずは劇場版シリーズを堪能してから、関心があれば手を伸ばすというアプローチが賢明かもしれません。
『ジョンウィック』が愛される本当の理由
「ジョンウィックがひどい」という否定的な意見がある反面、世界中の観客を魅了し続ける要素とは何でしょうか。
息を呑むような戦闘演出
何よりも特筆すべきは、画期的なバトルシーンの数々です。メガホンを取るチャド・スタエルスキ監督は『マトリックス』三部作でスタント演出を担当した実績があり、「ガン・フー」と名付けられた独自の格闘様式を生み出しました。
射撃と肉弾戦を滑らかに融合させる演出手法は、これまでのアクション映画にない斬新さを持っています。コンピューター映像に依存せず、キアヌ・リーブス本人が厳しいトレーニングを経て実際にスタント演技を行う姿勢も、多くのファンから賞賛を集めています。
練り上げられた架空世界の設定
殺し屋専用のホテル、金貨による独自経済圏、完璧に整備された支援体制など、細部まで考え抜かれた世界観も大きな魅力となっています。現実と虚構の見事な調和が、観る者を別次元へと誘います。
きらめくネオンサインに彩られた都市の夜景、洗練された武器類、世界各地のロケーションを生かした美術表現など、製作陣の哲学が作品全体に浸透しています。
キアヌ・リーブスの圧倒的な存在感
50代後半から60代という年齢でありながら、ここまで過酷なアクションに挑戦し続ける姿勢は特筆に値します。セリフの少ない役柄でありながら、微細な表情変化や身体の動きだけで深い感情を伝える技術は、長年のキャリアが育んだ賜物といえるでしょう。
プロデューサーとしても製作に携わり、情熱を注ぐ彼の姿勢が、多くのファンの心を掴んでいます。
最後に
「ジョンウィックがひどい」という評価は、作品が持つ性質と視聴者の期待のズレから生じています。込み入ったドラマや思想的なテーマを求める方には不向きですが、洗練されたアクションエンターテイメントとして割り切れば最高級の体験が待っています。
期待する内容を適切に調整することが鍵となるでしょう。「特定の嗜好を持つ観客に最適化された専門作品」だと認識すれば、批判的な評価を超えて本質的な面白さに出会えるはずです。
まずは記念すべき第1作から順序立てて鑑賞し、この独創的な世界に浸ってみることをお勧めします。華麗なアクションとキアヌ・リーブスの魅力に、きっと心を奪われることでしょう。
