人気漫画『舞妓さんのまかないさん』が、是枝裕和監督の手によってNetflixでドラマ化されました。
原作ファンからは大きな注目を集めた一方で、インターネット上では否定的な声も見受けられます。実際に検索サジェストでも「舞妓さんのまかないさん」の実写がひどいという言葉が上位に表示されることもあり、賛否両論があることがうかがえます。
今回は、なぜそのような評価が生まれているのか、原作との違いも含めて詳しく見ていきましょう。
実写版『舞妓さんのまかないさん』とは
まずは実写版『舞妓さんのまかないさん』の基本情報について確認してみましょう。
2022年1月7日、Netflixにて配信開始となったドラマ『舞妓さんのまかないさん』は、森七菜と出口夏希のW主演で、監督・演出・脚本を是枝裕和が手がけています。
原作は小山愛子氏による同名の人気漫画で、京都・祇園の花街を舞台に、舞妓たちが共同生活を送る「屋形」でまかない料理を作る少女キヨと、美しい舞妓になった親友すみれの日常を描いた心温まる作品です。
是枝監督にとって初のNetflixシリーズということでも話題になりました。
『舞妓さんのまかないさん』の実写がひどいと言われる理由は?
実写版に対する批判的な意見には、どのような背景があるのでしょうか。
原作との設定の違い
多くの原作ファンが指摘しているのが、キャラクターの設定変更です。
原作では百子は裕福な家庭で育ったという設定でしたが、ドラマでは貧しい家庭で育ったという設定に変更されています。このように、登場人物の背景が大きく変わることで、原作で感じていたキャラクターの魅力や関係性に違和感を覚える視聴者もいるようです。
また、屋形の先代女将、高校生の女将の娘といった原作に登場しない登場人物が登場するなど、オリジナル要素の追加も賛否を分けています。
演出やストーリー展開への不満
原作とは異なるストーリー展開や演出がされている点も、原作ファンにとっては不満の種となっているようです。
原作の持つ静かで穏やかな雰囲気を期待していた読者にとって、ドラマ独自の解釈や演出に違和感があるようです。特に、原作の繊細な心理描写を映像化する難しさが表れているとも言えるでしょう。
キャスティングに対する意見
主演の森七菜さんについても様々な意見があります。
「私は森七菜があまり好きではないのですが、この子が主演でも『京都 > 森七菜』で見るくらい、京都は魅力的に感じる」という率直な意見もあり、キャスティングに対する好みの分かれが影響していることも考えられます。
原作との主な違いは?
実写版と原作漫画では、具体的にどのような違いがあるのでしょうか。
キャラクター設定の変更
前述の百子の家庭環境の他にも、細かなキャラクター設定に変更が加えられています。
これらの変更は、実写化に伴う時間的制約やドラマとしての構成を考慮したものと思われますが、原作ファンには戸惑いを与える要因となっています。
オリジナル要素の追加
ドラマには原作にない登場人物やエピソードが含まれています。
これにより、原作では描かれなかった側面を探ることができる一方で、原作の世界観を大切にしているファンにとっては受け入れがたい部分もあるようです。
料理シーンの表現方法
原作では料理が大きなコマで美しく描かれ、料理名も併記されることが多いのですが、実写版では映像表現として異なるアプローチが取られています。
視覚的な美しさは実写ならではの魅力がある一方で、漫画的な表現を期待していた読者には物足りなさを感じさせる場合もあります。
実写版の評価できる点は?
批判的な意見がある一方で、実写版を高く評価する声も多数あります。
是枝監督の丁寧な演出
「美しかった。2人にしかない2人の関係も、食と人々の日常を映し出す映像も、舞という芸事も。けれど、この美しさは、私たちの、何よりも彼女たちの住む世界が、美しいものばかりではないと想像できるからこそ感じる」という感想もあり、是枝監督らしい繊細で美しい映像表現が評価されています。
京都の風景と雰囲気
「京都・祇園が舞台って、そもそもその風景見ているだけでわくわくできる」という声に代表されるように、実写だからこそ表現できる京都の美しい風景や花街の雰囲気が多くの視聴者を魅了しています。
役者陣の演技力
「お姉さんたちがすごく綺麗で面白いし、ご飯がほんとに美味しそう!!」という感想もあり、出演者たちの魅力的な演技や料理の美味しそうな表現が好評を得ています。
原作ファンが楽しむためのポイント
原作ファンが実写版をより楽しむためには、どのような心構えが必要でしょうか。
別作品として捉える
原作を愛するファンにとって、実写版に感じる違和感は少なからずあるでしょう。しかし、その違いを「新たな解釈」として捉えることで、新しい楽しみ方を見つけることができます。
原作とは異なる作品として楽しむことで、それぞれの良さを発見できるはずです。
実写ならではの表現を味わう
映像でしか表現できない京都の美しい風景や、実際の料理の美味しそうな様子など、実写版独自の魅力に注目してみることをおすすめします。
キャラクターの新たな一面を発見する
設定変更により、原作では見られなかったキャラクターの新たな一面を楽しむという視点も大切です。
まとめ
『舞妓さんのまかないさん』の実写がひどいという評価は、主に原作との違いに対する戸惑いから生まれているようです。
確かに原作ファンにとって、愛する作品の設定やキャラクターが変更されることは受け入れがたい部分もあるでしょう。しかし、実写版は、賛否両論ありますが、多くの人を魅了する作品であることは間違いありません。
是枝監督の繊細な演出と美しい京都の風景、そして出演者たちの魅力的な演技など、実写版ならではの良さも確実に存在しています。原作と実写版は別々の作品として楽しむことで、それぞれが持つ独特の魅力を発見できるのではないでしょうか。
どちらも、京都の花街で生きる人々の温かい日常を描いた素晴らしい作品であることに変わりはありません。